太陽の安全な観測方法

[ 倉敷科学センター ]


1.とにもかくにも安全対策

 太陽を観測したい場合は,強烈な太陽光線から目を守る特別な配慮が不可欠です。
 望遠鏡で太陽を直接のぞかないことはもちろん,減光のための道具選びにも,正しい知識が必要となります。ここでは,安全に太陽観測を楽しむための基礎知識や,観測方法についてご案内いたします。

2.望遠鏡でみよう




 望遠鏡はレンズや鏡で光を集めるため,直接太陽をのぞくと,その強烈な熱で目を痛めてしまい,最悪失明の恐れがあります。
 望遠鏡も大きな虫メガネのようなものです。レンズの後ろの焦点が合うあたりに紙を置くと,たちまち煙を出して燃え始めました。これが人間の眼だと思えば…。大事故につながることが想像できましたね。望遠鏡で太陽を直接のぞく行為は,絶対におやめください。

 望遠鏡で太陽を観測するときには,"投映法"と呼ばれる観測方法を用いるのが一般的です。
 レンズから出てきた太陽光線を,白い板に映して間接的にながめるこの方法は,一度の多くの人数で楽しむことができます。ちなみに,太陽黒点を観測する際にも有効な観測法です。

3.望遠鏡が用意できないときにはどうしよう?

 黒したじきやプラスチック板を通して,太陽を見る方法も昔はよく使われてきましたが,現在これは正しい観測法とはいえません。
 一見,無難に太陽光線をやわらげてくれているように感じられますが,しだいに目がチカチカしてきます。色素系の素材は,太陽光線のまぶしさはやわらげてくれるのですが,赤外線を通してしまうという弱点があります。赤外線は目に見えませんので,本人も気付かないうちに,じりじりと目を火傷してしまう怖さがあります。
 実際に,部分日食の観測で目を痛め,視力が落ちてしまったという事故例もありますので,素材の選び方には十分な注意をしてください。

 使用してはいけない素材としては,以下のようなものがあります。

 ×黒または色したじき  ×プラスチック板  ×CD-ROMやフロッピーディスク
 ×カラーフィルムの黒いところ ×サングラス
 ×ガラスにすすがついたもの

4.では,どんな素材なら使ってよいのでしょうか?

1.日食メガネ

 カメラ店,文房具店,メガネ店,ホームセンター等の一部の店舗で取り扱いがあります。本屋で,「日食ガイドブック」などと銘打たれた書籍の付録として,入手することも可能です。

2.溶接用の遮光グラス

 ホームセンターなどで,1000円以内で入手できます。グラスに明記されている遮光度で,太陽観測に適しているのは13度(#13)ですが,これは取り寄せなければ入手が難しいかもしれません。8度(#8)を2枚重ねで使う方法も有効です。

 しかし,これらの道具を使っても,長時間続けて太陽を見続けてはいけません。数秒ながめたら,しばらく休憩しましょう。「目がチカチカしてきた」「涙が出てきた」など,目に違和感を覚えたら,直ちに観測を中断するよう心がけてください。

5.倉敷科学センターで太陽観測

 倉敷科学センターの屋上には,口径25センチの太陽専用望遠鏡があります。
 ここから取り込まれた太陽像は,展示室2階の太陽観測コーナーまで導かれ,直径1メートルの大きさで投映されます。
 これだけ大きな太陽像になると,黒点の微細な構造もよく見えます。お時間のご都合が許されれば,科学館の太陽観測コーナーにも,ぜひ足をお運びください。
 2007年3月19日(月)の部分日食は,休館日のため太陽観測コーナーはご利用できません。

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