月面X観測ガイド

 2004年ごろから、海外の天文愛好者の間で「月面X(Lunar X)」という言葉が交わされるようになってきました。月のある地形に特定の角度で太陽光が差し込むとき、月の欠け際に短い時間だけ「X」の形が浮かび上がっておもしろい、というものです。
 天文現象か?と問われると、ちょっと違うように思えます。1年に数回、1~2時間だけ垣間見える「月の名所」を楽しむという感覚の方が合っているのではないでしょうか。

 上弦よりちょっと前、月齢でいえば6.6~6.9あたりが、おおむね「月面X」が見ごろとなる時間帯です。
 月の欠け際は月面の夜と昼の境目、つまり朝や夕方を迎えている領域です。太陽光が浅い角度で地形に差し込み、低い場所には太陽光が当たっておらず、高い場所にだけ太陽光が当たっていて、たまたまその形が「X」になっている訳です。

「X」の形が浮かび上がるのは、月の南半球の中緯度、Blanchinus(ブランキヌス)、La Caille(ラ・カイユ)、Purbach(パーバッハ)の3つのクレータのあたり、クレータのリム(外縁)が接して周囲より高く盛り上がっている地形です。

 予報の時刻は、月の欠け際の位置を表す月面余経度が358度付近になる時間帯を目安にして算出しています。
 

「月面X」は望遠鏡で楽しむ

 以下は月齢7の月の写真です。「月面X」は矢印の小さな地形で、望遠鏡や双眼鏡で拡大しないと確認することはできません。
 1時間以上継続して観察し続けると、太陽光の当り方が変化して「X」の形の印象が変わっていく様子が楽しめます。

月面Xの予報

以下の予想時刻を中心に、前後1時間「X」の形が見やすい状態が継続します。

2025年
2月5日 17時20分 ごろ
4月5日 22時10分 ごろ
6月3日 22時50分 ごろ
8月1日 20時20分 ごろ
9月29日 18時10分 ごろ
11月27日 19時50分 ごろ
2026年
2月24日 16時50分 ごろ
4月24日 20時20分 ごろ
6月22日 19時10分 ごろ
8月20日 15時50分 ごろ
10月18日 14時50分 ごろ
12月16日 18時40分 ごろ
2027年
3月15日 15時50分 ごろ
5月13日 17時30分 ごろ
7月11日 14時50分 ごろ
2028年
1月4日 18時20分 ごろ
4月2日 14時20分 ごろ
5月31日 13時50分 ごろ
8月27日 20時40分 ごろ
10月25日 21時10分 ごろ
2029年
1月22日 18時10分 ごろ
3月22日 23時10分 ごろ
4月21日 11時40分 ごろ
5月20日 23時00分 ごろ
7月18日 19時20分 ごろ
9月15日 17時10分 ごろ
11月13日 19時50分 ごろ