
国際宇宙ステーションをみよう
International Space Station

国際宇宙ステーションをみよう
International Space Station
国際宇宙ステーション観測ガイド

ロケットで宇宙空間へ打ち上げて、地球のまわりを回る「人工衛星」。国際宇宙ステーションもそのひとつです。
こうした人工衛星の中には、初心者でもかんたんに見つけられるものがいくつかあります。望遠鏡のような観測機材は必要ありません。必要なのは人工衛星がいつ、どの方向に見えるかという観測予報と、ちょっとした知識だけ。
夜空に浮かぶ宇宙船の光点を見つめながら、はるかな宇宙に想いをめぐらせてみるのはいかがでしょうか?
国際宇宙ステーションってなに?

人間が宇宙空間にいつも滞在し、さまざまな科学実験などを行う拠点、それが国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)です。
1998年より宇宙ステーションを構成するモジュールの打ち上げが開始され、軌道上で次々にこれらを組み立てることで、現在のようなサッカー場の大きさに匹敵する巨大宇宙構造物になりました。
アメリカ、ロシア、ヨーロッパ15カ国、カナダ、そして日本を含め、国際協力で建設が進められる大型プロジェクトで、人類が宇宙で活動する重要な舞台となっています。
日本も独自の宇宙実験棟「きぼう」を運用していて、国際宇宙ステーションの活躍の一翼を担っているため、JAXA筑波宇宙センターには「きぼう」の管制室があるほか、日本人宇宙飛行士も常時ではありませんが、高い頻度で宇宙ステーションに滞在しています。
国際宇宙ステーションは現在も運用が続けられているため、宇宙飛行士たちの生活物資、建設資材、交代要員をたびたび輸送しなければなりません。アメリカ、欧州、日本の宇宙船などが定期的に打ち上げられ、地上と宇宙の橋渡し役として活躍してくれています。
ただ、老朽化の問題も浮かび上がっていて、現状、2030年まで運用を延長する方針が合意されています。
宇宙ステーションが見えるってどういうこと?
国際宇宙ステーションは、地上から約400kmの高さを約91分の速さで地球を回る有人宇宙基地の機能を持った人工衛星で、全長100mを越える超大型の宇宙構造物です。こうした人工衛星の一部は夕方や明け方の夜空に、ゆっくり動いていく光点として観測されることがあります。とくに、国際宇宙ステーションや一部の大型人工衛星は、一等星並みの明るさで輝くため、初心者でも簡単に見つけることができます。

人工衛星がなぜ、夕方や明け方の空に見えるのか考えてみましょう。
人工衛星は地上から数百キロ上空を回っているため、地上では太陽が沈んでいるのに、宇宙空間の人工衛星には太陽光線が当たっているという状況が、夕方と明け方の時間帯に生まれます。地上は日が暮れて空も薄暗く、太陽光線を反射した人工衛星が星のように光って見えるという構図です。
もちろん、人工衛星は自分で光を放っていないので、地球の影に入ってしまうと地上から観測することができません。一方、昼間の時間帯は人工衛星に太陽光線が当たっていても、地上が昼でまぶしい空の中では、人工衛星を見つけることができません。人工衛星は“夕方と明け方に見える傾向がある”といわれるのはこのためです。
国際宇宙ステーションの観測方法

人工衛星は,夜空をゆっくり動いていく星のような光の点として見えます。もちろん何百キロ,何千キロもかなたにあるので,よほど大きな望遠鏡を用いなければ大きさまで認識することはできません。ちなみに写真では飛跡として線で記録されます。
夕方であれば、星が見え始める日没後40分後~2時間ぐらいが、明るい人工衛星がよくみえる時間帯です。(明け方は日出前2時間~40分ぐらい)
国際宇宙ステーションに限らず人工衛星はたくさん地球を回っているため、じっくり時間を掛けて夜空を見上げていれば、いろいろな人工衛星を見つけることができるでしょう。
国際宇宙ステーションは一等星をしのぐ明るさで輝くため、星がよく見えない街中でも見つけやすく、望遠鏡のような機材も必要としないので、初心者やお子さんでも気軽に、かんたんに楽しむことができます。
準備もかんたん。
以下の内容をよく確認し、観測に挑戦してみてください。
1.いつ、どの方向に見えるかという観測予報を事前に入手
2.予報の時刻より余裕を持って早め(数分前)に見晴らしのよい観測場所で待機
3.予報を元に、国際宇宙ステーションが見える方角や高さを確認
4.予報の時間が迫ってきたら、ゆっくり動く光の点をさがす
※通常、最新の観測予報を参考にしていれば、1分も時間がずれることはありません
※まれに国際宇宙ステーションが軌道を変えた後は、予報から数分ずれることがあります

それと、国際宇宙ステーションや人工衛星に間違いやすいものとして、飛行機や飛行機雲があります。 飛行機は赤や青など色の付いた照明をともしていることが多いので、よく見れば区別が付きます。
一方、夕空の飛行機雲や、夕日を反射してきらりと輝く航空機の光も、人工衛星と間違えられがちなのでご注意ください。
国際宇宙ステーションのクローズアップ撮影(上級者向け)

近年は撮影機材も多機能になってきて、超望遠で400キロ上空の国際宇宙ステーションをとらえ、形状をうかびあがらるクローズアップ撮影に挑戦する人も増えてきました。しかし、超望遠で国際宇宙ステーションをとらえることはかなり難易度が高く、天体観測の経験が豊富な人でも容易ではありません。
撮像センサーにもよりますが、国際宇宙ステーションは焦点距離500mmぐらいから形状がとらえられはじめ、2000mmを超えてくると、各モジュールの構成もよくわかるようになってきます。
最近の望遠鏡架台はコンピュータを内蔵し、人工衛星の軌道情報を与えることで衛星を追尾する機能を持ったものも登場しはじめました。完璧な追尾は望めないため、補正しながら使う人、追尾機能に頼らず手動で頑張る人、人によって工夫の仕方はさまざまですが、国際宇宙ステーション観測の新たな楽しみ方として定着しつつあります。