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ホーム > 科学センター特集 > 2007年8月28日皆既月食をみよう > 月食の観測方法

月食とはどんな天文現象なの?

月食が起こるしくみ  月食は,満月が地球の影の中に入り込んで太陽の光が当たらなくなるため,月全体が暗くなったり,月の一部が欠けて見える現象です。満月全体が地球の影の中に入ると「皆既(かいき)月食」,一部分が影の中に入ると「部分月食」と呼びます。また,あまりよく知られていませんが,地球の薄い影の中に月が入る「半影月食」と呼ばれるものもあります。
 ちなみに今回の皆既月食は2004年5月5日以来3年ぶり,次回の皆既月食は2010年12月21日,部分月食は2008年8月17日に見られます。

半影月食と部分月食

本影と半影  月の影と一言でいっても二種類あります。太陽の光がまったく当たらない「本影」と呼ばれる部分と,太陽の光量が 少なくなっている「半影」と呼ばれる部分です。一般的には,本影に月が入り込んだ状態を「月食」いうことが多いのですが, 天文学では半影に月が入り込んだ状態を「半影月食」と呼んで区別しています。
 部分月食は,見た目にも明らかに月が欠けていることが分かりますが,半影月食での月の暗くなり方は微々たるもので, 肉眼では,よほど注意してながめていないと,月がやや暗くなっていることに気がつきません。写真に撮るなど間接的な 記録にした方が,月の明るさの変化を認めやすくなるでしょう。

半影月食と部分月食画像

皆既(かいき)月食

皆既月食画像  地球の影の中に月全体が入り込んでしまった状態を「皆既月食」といいます。この時,月は完全に真っ暗になってしまうように 思われますが,実際はほんのりと赤銅色に色づいて,美しく幻想的な光景となります。
 これは,地球大気を通り抜けた太陽の赤い光が,月の表面をほんのり照らすために起こることで,地球大気の汚れ具合で, 皆既月食の赤い色づき方が変わるといわれています。実際,火山が大噴火を起こし,成層圏にまで大量の火山灰が 達した後には,皆既月食の明るさが顕著に暗くなったと報告されました。
 

なぜ,満月のたびに月食にならない?

月食解説  太陽−地球−月の順番に並ぶ「満月」のときには,必ず月食が起こってもよさそうに思えます。
 しかし,月が地球を回る軌道は傾いているため,実際満月は地球の影の上を通過したり下を通過することがほとんどで, なかなか地球の影とは重なってくれません。

近年の月食

2001年 1月10日皆既月食全国で見える
2001年 7月 6日部分月食最大食分約50% 全国で見える
2004年 5月 5日皆既月食関西以西で皆既となる月没帯食
2005年10月17日部分月食最大食分約 7% 全国で見える
2006年 9月 8日部分月食最大食分約20% 全国で見える
2007年 3月 4日部分月食最大食分約30% 関西以西で見える月没帯食
2007年 8月28日皆既月食月出帯食
2008年 8月17日部分月食最大食分約80% 西の地域ほど条件がよい月没帯食
2010年 1月 1日部分月食最大食分約10% 全国で見える
2010年 6月26日部分月食最大食分約50% 関西以西では月出帯食
2010年12月21日皆既月食月出帯食

望遠鏡や双眼鏡で観測する

双眼鏡  望遠鏡を使えば月をクローズアップして観測できます。月全体が見渡せる倍率で食の進行のようすを 記録したり,高倍率でクレーターの位置と比較しながら,影が進む速さを確かめてみることもできます。
 また,双眼鏡でも十分観測は可能です。「三脚アダプター」を用意し,カメラ用の三脚に取り付けると, 手持ちのときと比べて振動がなく,のぞきやすさが格段によくなります。

カメラやビデオで記録してみる

ビデオ  月は十分に明るいので,星などの天体と違い家庭用のカメラやビデオでもよく映ります。
 ただカメラの場合,多くの機種でズーム効果が足りないことが多く,交換用の望遠レンズや補助用ズームキットなど, 必要に応じてズーム効果を補う工夫が必要です。
 一方,ビデオカメラでは,ピント合わせができないトラブルをよく見かけます。オートでピントを合わせる機能を解除して, 手動で無限遠にピントが合うように調整します。ズーム効果が足りない場合は,オプションの補助レンズを購入して補います。

月食をスケッチしてみる

スケッチ用紙  スケッチは最も基本的な観測方法です。じっくり天体を観測する訓練にもなります。カメラやビデオで撮影できなくっても, それはあなたの立派な観測記録です。機器の操作に詳しくない小学生でも気軽に体験できる,スケッチ観測に挑戦してみましょう。
 スケッチには色鉛筆とスケッチ用紙以外は,特別な道具は必要ありません。どれぐらい欠けたか,色合いはどう変化したか, 月食の変化をできるだけ詳しく記録できるように描いていきます。
 地球の影に入っている部分は,ただ暗いだけではなく,ほんのり模様も見えたり,少々赤みがかって見えたりします。 また,部分食が始まっていない(終わった後の)「半影月食」の時間帯も,よく見ると月の片側がうっすら暗く見えるはずです。
 「しっかり細かい部分まで見て,正確に記録する」。スケッチに本腰入れて取り組むことは,天体観測の基本を学ぶトレーニングにもなるのです。

<参考になるページ>
過去の皆既月食ギャラリー・・・FAS府中天文同好会
月食を見てみよう・・・Mira House

月食観測用の星図(A4版)をダウンロード sketch.pdf
(右クリックでファイルの保存)

 

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