スペースシャトルを写真に撮ろう

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シャトルの写真 こんな写真を撮ってみましょう。

シャトルはゆっくり動いていく光の点として見えますから,写真に撮ると光の線として記録されます。

一見,難しそうにも見えますが,一眼レフカメラなどの基本的な道具さえそろっていれば,撮影はけっこう簡単です。自宅でふだん使っているカメラをよく調べて,シャトルを撮影するのに適しているかどうか確認していきましょう。

なお,デジタルカメラにつきましては,機種によって仕様が大きく異なりますので,ここでは扱わないことをお許しください。「高感度」「5秒以上露出できるシャッター機能」「三脚に取り付け可」という要素が,最低必要な機能となりますので,取扱説明書などでご確認ください。


一眼レフ シャトルを撮影するために必要な道具は,

 1.B(バルブ)機能付きカメラ(一眼レフなど)
 2.三脚
 3.ケーブルレリーズ
 4.高感度フィルム
                 の,4点です。

 カメラは一般的に一眼レフと呼ばれる種類が好ましいとされています。一眼レフとはこういうものだ!と,なかなか一言で表すことができませんが,単純に「レンズが交換できるタイプのカメラ」と覚えておいてもいいでしょう。


交換レンズ 交換レンズには○○mmという数字が記されています。これは焦点距離と呼ばれているもので,簡単に言うとと「レンズの倍率のようなもの」と思ってください。

標準(レンズ)と呼ばれる50mmレンズは,ほとんど見た目と変わらない感じ(例えれば倍率1倍)。また,これより焦点距離が大きくなる(135mmとか200mmとかそれ以上)と望遠効果が大きくなりますし,逆に焦点距離が小さくなる(35mmとか28mmとかそれ以下)と,より広い範囲が撮影できる広角レンズとなります。

シャトルを撮影するには,50mmの標準レンズあたりがもっとも扱いやすいでしょう。


解放シャッター 一眼レフが好ましいというのは「シャッターを開きっぱなしにする(バルブ:解放にする)」機能が,ほとんどの機種で備わっているという点です。

シャッターを押している間,左の写真のようにシャッター幕が開きっぱなしになるので,フィルムに長時間(数十秒)光を当てて,シャトルや星など暗い対象をしっかりと撮し込むことができるというわけです。

つまり,このような操作ができれば,一眼レフカメラでなくてもシャトルの写真を撮影することは可能です。お手持ちのカメラでよく調べてみてください。


バルブ機能 シャッターを開きっぱなしにできる(解放にする)かどうかは,だいたいシャッター速度の表示を見れば分かります。多くのカメラでは「B(バルブ)」というマークがそれにあたります。

電子式カメラの場合,シャッター速度を調べるのは少々やっかいなのですが,「シャッター速度をマニュアル(手動)で操作する」などの項目を取扱説明書などで探してみてください。


レリーズストッパー シャトルの写真を撮るときには数秒から数十秒,シャッターを押しっぱなしの状態にしなければなりません。そこで活躍するのが(ケーブル)レリーズです。プロの写真屋さんが「はい,撮りますよー」とひものような道具の先に手をかけて器用にシャッターを切っている,アレです。

指でシャッターを押し続けることもできなくはありませんが,手の振動がカメラに伝わると,せっかくの写真がブレて台無しになってしまいます。レリーズはそれほど高価な道具ではない(1000円程度)ので,写真屋さんにカメラを持ち込んで「このカメラに付くレリーズちょうだい」とお願いしましょう。

なお,レリーズはストッパー機能が付いているものがより使いやすいです。


フィルム 次はフィルムです。
一般に販売されているフィルムで問題ありませんが,高感度と呼ばれるタイプを選ぶとよいでしょう。

フィルムの感度とは,パッケージに記された100とか,400とかいう数字で表されています。この数字が大きければ大きいほど,暗い対象を撮す能力が高いということになります。

しかし,感度が高ければいいというわけでもありません。
感度が高いフィルムは,ざらざらとした美しくない画質に仕上がりがちですし,シャトルや星のデリケートな像が,街明かりの影響などでわかりにくくなることが多いためです。

だいたい,感度は400〜800前後を目安に選ぶようにしてください。


機材を組み上げる ここまでできたらカメラにフィルムを入れて,バラバラだったカメラ,三脚,レリーズを組み上げてみましょう。三脚は丈夫であれば特に種類は問いませんが,ビデオ用の三脚の一部にはカメラが取り付けられないものがありますのでご注意ください。

全体の雰囲気はこんな感じ,準備ができたら観測場所へ移動しましょう。


街明かり シャトルを観察するのであれば,基本的に見晴らしの良い場所を選べばよいのですが,写真を撮りたい場合には,街明かりの影響を受けにくい場所の方がきれいな写真に仕上がります。

左の写真は,高台から市街地の方向を撮影したものです。
街の明かりが写真全体を明るくさせてしまい,肝心の星がほとんど写っていません。

これは極端な例でしたが,写真の撮影場所としては,近くに街灯や照明のない,できるだけ星がたくさん見える場所を選ぶようにしてください。車で郊外に移動できればベストです。


地平座標 観測場所が決まったら,シャトルが見える方向を確認しておきましょう。 これがちゃんとできないと,シャトルを見つけることは困難です。

予報にもよりますが「南南東の高さ30°」と表記されている場合もあれば,「地平座標で○○°高度○○°」と表記されている場合があります。これは,空を半球面として縦の座標と横の座標に区切り,空の位置を正確に示しているわけです。数値の説明がどこかにあると思いますので,これもしっかり確認しておきましょう。


セッティング 観測場所に着いたら機材のセッティングです。
三脚,カメラ,レリーズを取り付け,フィルムも正確に装填しましょう。

このときカメラは,シャッター速度は「B(バルブ)」,ピントは「∞(無限大)」に合わせましょう。これを忘れると,せっかくの写真が台無しになります。

絞りはレンズによっても異なりますが,一番数字が小さいところよりも1〜2つぐらい大きな数字のところに合わせましょう。このレンズの場合は「2.8」ぐらいにセットしました。


撮影 予報のチェックもOK,観測場所もOK,機材もOKとなれば,あとはシャトルが見える時刻を待つだけです。シャトルの予報は若干ズレることもありますので,観測には余裕を持って5分ぐらい前にスタンバイできるようにします。

ゆっくり動く光点が見つかれば,それがシャトルである可能性が高いです。予報で示された移動の仕方と同じような動きをしていれば,目的のシャトルが見えたと思って間違いないでしょう。

シャトルが見える方向に素早くカメラを向けて,10〜30秒程度,シャッターを開きっぱなしにして撮影です。


紛らわしいもの しかし,夜空にはシャトルと間違えそうなものがたくさん見えています。飛行機はぴかっ!ぴかっ!と点滅しますし,飛行機雲はシャトル独特の光の点とは違う形状をしてますので,よくみれば違いは分かります。

見え方については,観察ガイドの「シャトルってどんなふうにみえるの?(Java)」を参考にしてください。


固定撮影で撮ったカシオペヤ座 今回解説しましたシャトルの撮影方法は,天体写真でいう「固定撮影」の手法そのものです。シャトルの撮影に成功したら,ぜひ夜空の星々にもカメラを向けて,いろんな星座でアルバムを飾ってください。

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また,最近は家庭用のビデオカメラも,高画質,高感度の製品が普及し,シャトルが十分明るくなれば,これらのビデオカメラでもシャトルをとらえることができる可能性は十分にあります。ピントを自動から,遠景固定のマニュアルモードに切り替える必要がありますので,カメラの機能をしっかり確認して撮影に臨んでください。

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