今回の月食 押さえておきたい5つのポイント

ポイント1 赤く色づく皆既月食のみごろは午後8時前後

ポイント2 東の方向の見晴らしがよい場所がおすすめ

ポイント3 月の欠け方、時刻は各地で共通

ポイント4 月食は、望遠鏡を使わなくても、肉眼だけで十分楽しめる

ポイント5 月食の最中に天王星が月に隠される(ただしこちらは、双眼鏡や望遠鏡を使っての観測がおすすめ)

 月食の開始時刻は午後6時08分、終了時刻は午後9時49分。今回の月食は、およそ3時間40分におよぶ月食の全経過を観測できます。

2022年11月8日の皆既月食の概要

2010年1月1日の部分月食  月食とは、地球の影の中に満月が入り込み、月の表面に太陽の光が当たらなくなる現象です。2022年11月8日の夜、満月全体が地球の影の中に入り込む皆既月食が観測できます。
 今回の皆既月食は昨年5月以来1年半ぶりに観測できるものです。とはいえ、倉敷では前回の皆既月食は雲が厚くまったく見えませんでしたので、もし見ることができれば2018年1月以来といえます。
 月が欠け始めるのは月の出から1時間ほどたった午後6時8分。(岡山県での場合。月食の進行は全国共通ですが、月の出の時刻は各地で異なります。)まだ月が東に低いため、東の方向の見晴らしがよい場所で観測するのが良いでしょう。
 月食は望遠鏡を使わなくても肉眼で十分楽しむことができます。また今回は皆既月食が午後9時前には終了するので、小さなお子さまでも観測気分を満喫できるおすすめの天文現象です。ぜひ大人の方のサポートをお願いいたします。
 皆既月食の月は、完全に真っ暗にはならず、ほんのりと赤い色(赤銅色)に色づきます。これは、地球の影に入った月面を、地球の大気の層を通り抜けた赤い光が照らすためです。満月のまぶしい輝きが失われるため、周辺の星々が見やすくなるでしょう。
 月食を観測・記録するには、月の形や色がしだいに変化していく様子を時間とともにスケッチするとよいでしょう。ズーム機能を活かせるビデオやデジカメで、月食撮影に挑戦するのもよいでしょう。
 次に岡山県内で観測できる月食はほぼ1年後の2023年10月29日、月が13%欠ける部分月食です。皆既月食は3年後の2025年9月8日です。

 2022年11月8日の皆既月食の経過継続時間
半影月食の開始17時00分
部分月食の開始18時08分68分3時間41分
皆既月食の開始19時16分86分
食の最大19時59分(最大食分1.364)
皆既月食の終わり20時42分
部分月食の終わり21時49分67分
半影月食の終わり22時57分

部分月食の経過

2022年11月8日の皆既月食の経過

(アストロアーツ社 ステラナビゲータ Ver.11 で作成)


 じっくり月食観測に取り組んでみたいという方は、色鉛筆を用意して、このページのスケッチ用紙に月がしだいに欠けていく様子を記録してみましょう。

地球の影に対する月の動き

(アストロアーツ社 ステラナビゲータ Ver.11 で作成)


皆既月食中に起こる天王星食

月食中の天王星食  今回の月食の最中に、天王星が月にかくされる天王星食が起こります。いわば、太陽-地球-月-天王星の4天体が一直線に並んだ、とてもめずらしい状態です。観測には望遠鏡が必要ですが、観測の機会の少ない天王星を見るチャンスです。
 天王星は地球からの距離が約28億kmと遠く、明るさは5.6等で肉眼で見ることが難しい天体です。高倍率の望遠鏡で、かろうじて点ではないうすい青緑色の小さな丸に見えます。そのわずかな大きさがあるために、月に隠れたり月から出てくるのに十数秒ほどかかります。
 天王星食は前回は1999年、次回は2029年(昼間の現象を除く)で、これだけでも十分に貴重な現象です。今回は、小笠原諸島周辺をのぞく全国で見ることができ、北日本では皆既が終わった部分月食中に潜入および出現し、そのほかの地域では皆既月食中に潜入しその後の部分月食中に出現します。
 国内で皆既月食中に惑星食が観測できるのは、1580年の土星食以来442年ぶりのことです。なお、2014年10月8日の皆既月食のときにはロシア東部で天王星食があり、岡山県からも赤くなった月のそばに位置していた天王星を確認することができました。

2022年11月8日 天王星食の各地の予報
潜入時刻出現時刻
札幌20時49分21時47分 
東京20時40分21時22分 皆既月食中
大阪20時31分21時20分 
岡山20時28分21時20分 部分月食中
福岡20時22分21時17分 (皆既終了後)
那覇20時13分20時54分