流星群Q&A

いつ観測すればいいのですか?

もっとも多くの流星が期待できるのは、12日の深夜から明け方にかけての時間となります。
ありがちな誤解として、12日の夕方や13日の夕方に夜空をながめ、流星がほとんど見えなかったと相談される例です。流星は夕方の空にはほとんど現れないので注意が必要です。
しかし、ペルセウス座流星群は一夜だけの天文現象ではありません。流星は数は少ないながらも出現しますので、極大当夜に天候が悪かったとしても、また翌日挑戦してみましょう。
 いちばんおすすめの時間帯:8月12日(火)深夜から明け方にかけて・とくに午前0時~4時ごろ
 その次におすすめの時間帯:8月13日(水)深夜から明け方にかけて・とくに午前0時~4時ごろ

どんな場所で観測すればいいのですか?

空が開けた場所を選んでください。
理想的には天の川が見えるような、郊外の夜空の条件がよい場所まで出かけることですが、そうもいかない場合は、近くに明るい対象(街灯、車・道路、工場、店舗の照明など)がない場所を選んでください。
また、夜も更けても思い掛けない人物に遭遇することがあります。不審者や暴走族などに注意することはもちろん、安全のため家族やグループでの観測計画をおすすめします。それから、他人の私有地にむやみに進入してはいけません。近所の広場を利用できる場合にも、話し声など近隣の住人に迷惑がかからないよう配慮をしましょう。

極大当日の観測が難しいので、別の日ではダメですか?

数は少なくなりますが、見えなくもありません。
ピークは12日の深夜から明け方にかけての時間となりますが、前後二晩くらいはそれなりの数の流星を見ることができます。この場合も「深夜から明け方にかけて」が基本です。天気が悪くて観測ができなかった場合も、あきらめずにまた翌日挑戦してみてください。

望遠鏡で観測させてもらえるところはありませんか?

たぶん(絶対)ないでしょう。
流星は眼視(目で見る)観測が基本です。望遠鏡は倍率を上げ、拡大して天体を観測するものなので、どこに現れるのか予測できない流星の観測には向かないのです。

当日晴れますか?

科学館にこのような質問をしてくる方、毎年います。科学館では気象の情報を持ち合わせておりませんのでご了承ください。インターネット等で公開されている天気予報を参考にしてください。

天気が悪くても見えますか?

星が見えない天候では、流星も見えません。
天気予報を見守りながら「てるてるぼうず」を吊るして、晴れるように願いをかけましょう。

どれくらいたくさんの流星が見えますか?

観測経験によっても変わってきます。初心者の方なら1時間に10~20個くらいが目標です。 熟練した流星観測者であれば、50~100個を超えることもあります。
もちろん空の状態にもよりますし、観測者の疲労の程度にもよります。流星は一瞬で消えますので、たくさん見るには集中力が必要です。すっきり目が覚めているときと、眠いのをがまんしながらの観測では、流星数もぜんぜん違ってくるものです。流星観測の前には、たくさんお昼寝できているといいですね。

どっちの空を見てればいいですか?

流星は空のあちこちに現れます。星座を見つけるのは自信がないという方は、真上の方向を広く見回すようにするのが基本です。となると、寝転がる姿勢で観測できれば楽ちんですね。ペルセウス座が探せないと、流星観測ができないということはありません。

ペルセウス座はどの方向に見えるのか教えてください

ペルセウス座は午後10時ごろに北東の空から昇ってきます。その後、徐々に高くなっていきますが、最も空高くに達する前に、夜明けを迎えて空が明るくなってしまいます。
午前2時ごろでは、空高くのぼっている「M」か「W」の形で有名なカシオペア座の下隣にペルセウス座が位置しています。星座を探したいときには星座早見盤を使うと便利です。

街中で星がよく見えない自宅前でも見えますか?

数は減ってしまいますが見えます。
流星も星がよく見えない街中では、確認できる数が減ってしまいます。好条件を望まなければ街中でも観測は可能ですが、その際は街灯など観測の妨げになるような明るい光源を避けられる場所を選びましょう。
あくまで目安ですが、条件のよい星空での流星数が100であったとすれば、4等星がやっと見える(大体の星座の星が見える)地方都市程度の星空では50、2等星や1等星がなんとか見える大都市程度の星空では20以下と、見える数がずっと減ってしまう傾向が報告されています。

双眼鏡や望遠鏡のような機材は必要ですか?

必要ありません。
流星は肉眼観測で行います。早まって流星観測のために望遠鏡や双眼鏡を購入しないでください。

初心者(小学生)にもできる簡単な観測法を教えてください

10分ごとに確認できた流星の数を数えてみましょう。
一定の時間枠に出現した流星数を数える観測法を「計数観測」と言います。各地で観測されたこれらのデータを集積し、時間ごとの流星出現数の変化を比べ、流星群全般の活動の実態をつかもうというわけです。
メモ用紙と筆記用具を用意し、流星が見えたらその合計数を「正」の字を書くように記録していきます。最終的に視野が雲で空が遮られていた割合(10段階評価:空全体が雲で覆われてたら10、雲が無かったら0)を加え、「02:00~02:10 4個 雲量2」「02:10~02:20 6個 雲量0」などとまとめればOKです。星座をたどることができる人であれば、どれぐらい暗い星まで見えたか(最微光星等級といいます)という記録も欲しいところです。
ごく簡単な観測ですが、こうして得られたデータは貴重です。うまく観測できたら、最寄りの天文台、科学館、天文愛好家などへ報告しましょう。夏休みの自由研究にもいかがでしょうか?

極大日(活動のピーク)の夜を見逃したらもうチャンスはないのですか

ピークから前後1日程度であれば、数は半分程度まで少なくなりますが流星は出現します。
過去には予想されたピークから1日半もたってから予期せぬ第二のピークが観測されたこともあるので油断できません。(2021年、ただし日本は昼間で観測できませんでした)

流星群の見ごろの日時と極大日時が違うのはなぜですか?

「極大」とは、流星群の元になるチリの最も濃いところを地球が通過する日時を示してます。地球全体でみれば流星群の活動レベルが最も高くなるのがこの極大日時です。極大日時は厳密な正確さを持ったものではなく、予想の仕方によって数時間の幅があります。
一方「見ごろの日時」は、極大日時とあわせて地域的な観測条件も考慮したものです。極大日時が日本では昼間ということもあるように、実際の観測で最も多く流星が確認できる予想時間はずれていきます。流星が増える時間帯は深夜から明け方という基本に変わりはありませんが、月明かりの有無、ペルセウス座の高度など、複雑な要因も合わせると微妙に変わってきます。

流星はどんなものですか?

宇宙空間に浮かぶごく小さなチリの粒子が、地球大気中に秒速数十キロという猛烈な速さで飛び込み、その時に生まれる大気との衝撃で発光し燃え尽きる現象です。夕方よりも明け方に多く見える傾向があります。
また、流星には毎年たくさん出現する時期が決まっていて、同じ時期に大量出現する流星にはそれぞれ共通性があるため、これらをまとめて「流星群」と呼んでいます。8月中旬に見える「ペルセウス座流星群」はその代表格です。
流星のほとんどは1秒以内という瞬間的な現象ですが、中には「火球」と呼ばれる明るい大規模流星が現れることがあります。こうした火球の一部には燃え尽きず地面に落下してくる、いわゆる「隕石」があります。火球や隕石の目撃証言は大変貴重なので、もしも目撃したら、明るさ、出現位置や移動方向、衝撃音の有無などを確認し、最寄りの天文台、科学館、アマチュア研究家などへ報告しましょう。

しかし、流星群の元となるのは彗星を起源とした小さなチリで、隕石となる大型の物体の起源は小惑星といわれ、その由来がまったく異なる流星群と隕石は別物と考えるのが一般的です。流星群の日に、隕石もたくさん落ちてくるということはありません。

写真やビデオでぜひ撮りたいのですが?

長時間露出(シャッター速度を10秒前後に設定)ができる機能を持ったカメラ(一眼レフカメラが最適)と星が撮影できるレンズがあれば、写真撮影ができる可能性はあります。最近のスマホの一部にはは星を写せる機種が登場していますが、レンズの性能が十分ではなく、瞬間的な現象を捉えなければならない流星撮影には不向きです。

流星は「数打ちゃ当たる作戦」で撮影します。
感度は高めに(ISO3200以上)、レンズの絞り値(F値)もF2.8に設定。星のピントは自動で合わせてくれないので、オートフォーカス機能を解除して、マニュアル操作でピントを無限遠に合わせます。カメラを三脚に固定し、数秒~数十秒のシャッター速度で繰り返し撮影を続けます。その写野に運良く明るい流星(ふつうの明るさの流星ではまず写らない)が横切ると写真に写ってくれます。
なお、手動での連写は無理があるため、自動でシャッターを切ってくれるリモートコントローラーを使うことをオススメします。インターバル撮影といって、設定した撮影間隔でシャッターを延々と切り続ける機能がカメラについていることがあるので、もしあればその機能を使うのもよいでしょう。

一方、流星撮影には高感度、低ノイズのセンサーを搭載した撮像機材を使わなければなりません。一般的なビデオカメラでは、感度不足で流星がまったく映らないといっていいでしょう。
ただし、流星の中には「火球」と呼ばれる大変明るいものもあり、頻度はかなり低いものの、車載ドライブレコーダーや、低照度撮影に強い監視カメラに捉えられる事例もあります。

彗星と流星の違いを教えてください

彗星(ほうき星)は、氷やチリなどでできた直径数km~数十km程度の「よごれた雪だるま」のような天体です。これが太陽に近づいた際に表面が溶け、ガスやチリを大量に放出し、尾を引く美しい姿となります。地球からの距離があるので双眼鏡や望遠鏡で観測します。
流星は宇宙空間を漂っている、1mmにも満たないような小さなチリが地球の大気に突っ込み、大気との衝撃によって光と高熱を発して消滅する瞬間的な現象です。しかし、流星のもとになるチリは、彗星がまき散らしたものなので、彗星と流星は、いわば親子の関係ということもできます。

ホームページの写真を自由研究に使っていいですか?

倉敷科学センターのペルセウス座流星群の特集ページの写真は、「倉敷科学センター撮影」あるいは「写真提供:倉敷科学センター」などと出典元を明示していただければ、夏休みの自由研究や個人のブログなどに使っていただいてかまいません。